新社会人のみなさんへみたいになったけど魔女宅のただの感想
鉄は熱いうちに打てということで、珍しく即座に昨日、今日の舞台の感想を書き留めておく。
決して新幹線の中の暇つぶしではない。(怪しい)
◆ミュージカル『魔女の宅急便』
会場/新国立劇場中劇場
6/3(土)マチネ・ソワレ、6/4(日)マチネに入りました。
はじめに言っておく。
顕嵐くんは冒頭25分くらい出て来ない!!!
私自身観劇趣味があるのでその辺は問題ないけど。(笑)
冒頭シーンも見応えはある。
現在と過去2人のキキと2匹のジジの歌唱シーンが好き。
可愛いんだ〜!そして、歌声が綺麗!!
それもそのはず、ライオンキングにアニーと…彼女達の経歴はすごい。子どもとか言っちゃダメなレベル。
そして、旅立ったキキを見送ったあと、こっそりコキリ(お母さん)が泣くんですわ。
あれもジーンと来る。
あれだけ早く行きなさいって言ってた母が。
あの母の気持ち、親ならわかるんじゃないかな?ま、私、親じゃないけど♪
全体的に、対象年齢の層を広くとってあるように感じた。
親目線で共感させる部分も置きつつ、子どもも楽しめる作りになっていた。
いろんな立場の人が見て、いろんな見方ができる。
中でも、新社会人にいいな、と思う部分がある。
出版社に原稿を届ける部分で、元々遅れてる原稿を急いで持って行って『遅い』と怒られる。
キキは『今までで1番急いだ。速く飛んだ』と言う。
でもそれは『仕事だから当たり前』。
仕事をして、“感謝されたいのか。”と言われる。
難しいところですよね。
仕事して感謝されたらそりゃあ嬉しいですけど、そればかりが仕事じゃない。
この部分については、完全にキキだけがかわいそうとは思えなかった。
編集者の言うことが最もすぎて。
まぁでも、元々遅れてたわけだから、遅いのはキキの責任じゃないのに、そこをキキに声を荒らげて、遅いと言うのは違うよな。
でも社会に出るとこんなんばっかだぜ?関係ない人が責任とるの?そんなんばっかだぜ?なぁみんな!
個人的に好きなのは物語の最後に指輪の配達をするシーン(笑)
最初見たときはなぜあの2人?と、思ったんだけど、始めからあの2人っていい感じでしたね(笑)最初の登場のところから初々しいし、ダンスパーティーでも踊ってるし、そんな流れがあるとは!!気付かなかった!!気付いてたら応援してたのに!(何)
それともうひとつ。
キキのお父さんが研究したいって言ってるの、トンボにそっくりだよね?(笑)
お父さんに似た人を選ぶとは…!!と、ニヤニヤした(何)
さて。楽しみにしていた顕嵐の歌唱シーン。
……あ、あれ?
あれ?
あれれ?
ボイトレつけてるんじゃないの?
あれ?
止まらない疑問符たち。
正直、これが3日マチネでの私の初めての感想である。
一度音を引っ張られちゃうとそこからズルズルと流れるように音を外す。
一瞬持ち直して、また危うくなって……安定していなかった。
ほんとに?
観劇後、みんなが口を揃えて言った。
『共演者のレベルが高すぎる』
一種の戦に負けて帰ってきた集団となった。
何かみんな疲れていた。
確かに何かに負けて帰ってきた。
…いやいやいやいや!!!!!
だとしても!
だとしても!!!
歌のお兄さんさすがだし、白羽ゆりさんとか!もう綺麗だわ美しいしさすが元娘役!!!好き!って話逸れたけど、そんな方々と肩を並べる顕嵐すごいんだよ?
結局、ソワレではそこそこ歌えてたから、ただ単に声が出てなかったんだろうなぁ〜ってところ。さらに日曜はもっと良くなっていた。昼公演なのに。そこの成長を褒めたい。
では中身の話。
歌唱シーンを辛口表現したが、そんな辛口派の口からハッキリと言いたい。
顕嵐くんはトンボだった。
うまく阿部顕嵐を消していた。
全然かっこよくなかったよ。
もちろんオタク目線だと何やっても可愛いんだけど、そうじゃない目線でも見ていたから。
キキを探してパン屋に来たトンボが帰るとき
トンボ「じゃあキキ、お仕事頑張って」
手をパーにして、腕をピーンと伸ばして………
何あれ?何あの動き!気持ち悪い!
(オタクな私:「お仕事頑張って」いただきましたー!今後脳内再生して仕事がんばろーっ」)
重い絵画をどうやって運ぼう?ってときに、持ち上げようとしてヨロヨロヘナヘナ…何あれ!!非力!!てか絵画に触っちゃだめでしょ?何勝手に触ってんの?
(オタクな私:やっばーーー!!超可愛いんですけどーーー?!ヨロヨロしてるー!細腕ー!!かーわーいーー!!)
ダンスパーティーに誘いに来るトンボ
もじもじして、招待状を背中に隠してバッと勢いよく出す。
何あれ!!やだ!怖い!!根暗な人?怖い!気持ち悪い!
(オタクな私:きゃーーー!何そのぎこちない動き!!くねくねしちゃってるよ?!軟体動物?トンボちゃんは軟体動物なの?かわいすぎる!!!!!)
あぁオタクとは恐ろしい。
これくらい感想が変わる。でも仕方ない。それが楽しいんだから。それに正当な評価はどっかの偉い評論家にしていただいたらいいんだ。
観る人それぞれが好きなように受け取って、明日への活力にしたらいい。
観劇後に、何を持ち帰るかは自由だ。
私は「阿部顕嵐のトンボ可愛い」を持ち帰った。
冷静に見た中で、顕嵐くんは動きや仕草から完全に別人になっていた。
かっこ悪いポイントが数々あるのだけど、その何かかっこよくないトンボって大事だな、と。
それがあるから、体調の悪いキキを飛ばさないために言う「僕が行きます!」が、超絶かっこよくなる。
あれ?トンボってこんなにかっこいいの??と、目が覚める瞬間。 (待て顕嵐担)
3公演見たけれど、あの気迫はどちらも本気だった。
そして、1秒1秒変わるトンボの表情で、セリフはない部分でも鮮明に感情が伝わってきた。
ウルスラが絵画を持ってキキを訪ねて来るシーンでとにかくトンボの表情を堪能できる。
それまでキキは、自分に対して素っ気ない態度だったのに、ウルスラを「来てくれて嬉しい!」と歓迎する。
自分が、研究対象としてしか見ていなかったキキが、普通の女の子で、普通に人間関係を作っているところで、トンボの心も動いたんじゃないかな。
“空が飛べたらキキの気持ちがわかる?”
空を飛ぶ想像をして、溢れんばかりの笑顔になり、でもすぐに泣き顔になる。あの切り替わりは秀逸で、普段、観劇で他所の役者を見ているときに感じるような惹き込まれる感覚が身体中を巡った。
あの感覚は、何となく観劇した舞台で良い役者を見つけたとき、出会ったときになる感覚だった。
あの表情があったからこそ、キキが子ども時代に喧嘩した、分かり合えない友達とのことが浮かんだ。
その友達は、想像しても出来ないことは楽しくないと言う。
トンボは、そうじゃなくて…空飛ぶキキが好きなんだ。空を飛んで笑うキキが好き。そのままのキキが好きなんですね。
トンボにとってキキは、待ちわびていた子、探していた子。
でも、それはトンボにとってだけじゃなく、キキにとってもトンボは待っていた人なのかもしれない。
何度もやっていると、役者もダレることがある。
けれど顕嵐くんのトンボは、そこに生きていた。そこに生きていたし、たった一度の勇気を振り絞っていた。
一度きりの人生を生きてるトンボは、他の場面でももちろんそうで……
キキに初めて会ったとき。表情がキラキラしていた。
確かにあれは、初めて憧れの存在に会えたときの顔だった。
キキとすれ違ったとき、初めてのすれ違い、上手く気持ちが伝わらない、初めての涙だった。
いつもどの場面も常に“初めて”で、眼が濁らなくて、あれは、キキの母コキリの言葉を借りたら「生まれ持った才能」なんだと思う。
でもコキリは、それが1番とは限らないとも 言う。
顕嵐くんは、きっとこのミュージカルで力をつけて、更に飛躍してくれるだろう。
何が顕嵐くんの1番になるのかな?歌かな?演技かな?それとも…?
それが楽しみでならない。
このミュージカルを前に「絶対成長する」って言っていた顕嵐くん。
出来ない事も全てわかった上で、挑戦していく。それを楽しんでいるのが伝わってきた。
新社会人の方に、キキの配達のエピソードを…と言ったが、この等身大の顕嵐くんもそうで。
初めから出来る人ばかりじゃない。
出来ない事に挑戦するって、楽しいよ。
出来ない事だらけでも、ひとつひとつできる事が増えていくって、ひとつひとつ自分の世界が広がるってことだよ。
新社会人のみなさん、頑張ってください。
私も頑張る。(新社会人じゃないけど)