自分以外の何者を求めてる。/舞台『何者』11/25初日
鞄の中には仕事の資料。
重いから持ち歩きたくないけど、明日は仕事だし仕方ない。
帰りの新幹線でしようと思っていたけど、これらは未だに鞄の中に眠る。舞台「何者」の帰り道。書きたい衝動に駆られ、書き残す。備忘録としよう。
はい。まるで隆良を気取ってみた。
本当は、仕事を持ち歩くのもカッコ悪いし、仕事に追われてるのもカッコ悪い。
それはわかってる。
わかってて、私もよくTwitterで寝てないとか言う。
締め切り破るとかダッサいのに、昨日が締め切りだった、とか言う。非常にダサい。
カッコ悪いことを隠さなければ、ダサい物もダサくなくなるのでは?という醜いプライドだ。
理香と同じ。笑われてることなんて、わかってる。
うちの会社で、顔良し頭よし愛想よし、営業成績トップ、社長賞を何度も受賞している先輩は、SNSをしていない。
私がその先輩だったらこう呟いてる。
「また急なアポ入っちゃって、彼女とのデートドタキャン。俺じゃなきゃダメってお客さんが多すぎるのも困り物(笑)」
「今月後輩達が件数困ってたから、分けてあげた。返しますからってそれ何度目だよ(笑)別に俺はトップをとりたいわけじゃないし」
「今日は部署の飲み。社長賞のボーナス使って飲もうって勝手に同期が声かけてるから困る(笑)」
こんなところかな??だからSNSやんないのかな…イヤミだらけになっちゃうもんな……なんて、これまた僻みである(笑)
舞台『何者』
初日の昼と夜、観劇しました。
言いたいことがたくさん。
多分、就活世代が見るとハマるのかもしれないけど、就活世代の心理を利用した、現代の若者のマウンティングが垣間見えたし、人間関係の、危うさを見た。
SNSで人間関係が希薄になったって言うけれど、今回初めて、もしや逆じゃないか?と、思わせてくれた。
別のアカウントという、本音を暴露するものがあるからだ。
そこを覗かれたら、本音で会話をせざるを得ない。
理香と拓人はそこを越えた。越えた2人の未来は、交わらないけれど、でも、もっと先の未来はわからない。
一度お互いの腹の底を見せた者として、お互い落ち着いてから、交わるかもしれない。
でも、本音ってそんなに大事?
瑞月が、隆良に言う。
「考え抜いて出した考え方ならいいけど」って。
いや、待て。
なんでそれを決める?なんでそれを瑞月が判断するのか。
上っ面だけの分析でも、ナナメに物事を見ていても、別にいいじゃん。
むしろ、そうやってプライドを守ろうとしてる隆良の鎧を剥ぐ瑞月こそ、そんな権利ないよね?
友達ならいいの?アドバイスならわかるけど。相手の気持ちに意見してもいいとか、相手を否定してもいい、という流れに疑問を抱く。
ゼロか100かの人間もいる。
20%なら出したくない人間だっていっぱいいる。それじゃダメなのか?
と、こうやって反論する私も一緒だけどね。てへ。
今回、隆良役の長妻くんが素晴らしかった。
舞台の上での呼吸が見事。
この人は、空気を感じて演じられる人なのかもしれない。感覚の人。昼公演と夜公演では間の取り方がまるで違った。
セリフの言い間違いやら、SEとのタイミングとか、そういったところだけじゃなく、確実に掴んでいく人だと思った。
何より、スタイル良すぎやべぇ(台無し
そして、主演阿部顕嵐。
舞台「魔女の宅急便」から約3ヶ月。
この人どんどん進化するね…見ててほんと楽しい。
滑舌や声の特徴で苦労してるけど、でも、それを補うだけのパッションがある。
この人は体の中から放出している。『気』を。
こういうタイプの役者になるのか!!
理香に別のアカウントを指摘された瞬間の表情が!!!!!!!
ねぇ!!!!!すごいよ!!!!!!
瞬きが増えるんだけど、そういった動きだけじゃなくて、目が虚ろになる。
あ…今……拓人が…壊れてる…壊れていってる……。
拓人の目がそれを物語る。
理香の言葉ひとつひとつが、拓人の中に入って、心の柔らかい部分をグサッ、グサッと、鋭い刃物となって刺さる。
嫉妬や絶望に苦しむシーンは、すごく重い。よくここまで深く出せたね…。
見てる方にもズーーーーンと来る。
そのとき、目の前でぐちゃぐちゃになって、苦しむ人が何者かわからなくなる。
あれ?この人誰だっけ?本当に顕嵐?
そこからの、笑顔が、なんかもう、何者でもなかった。
以上。
すんごいパワーの舞台でした。
例えるのはおこがましいけど、数年前舞台SHOCKのドキュメンタリーを見たときと同じことを感じた。命削って演じてる、ってやつ。(もちろん大先輩光一様には敵いませんけど。こちらは数億万歩後ろです)
いいことだけを書くのは違うかもしれないけど、一応さ、ファンくらいは味方でいさせてよ(^ω^)
汗の量がハンパなかったし、右眼の充血が気になったけど…いや…気にしない。
とにかく、舞台何者初日おめでとうございます。
顕嵐は、挨拶すること言われてなかった、と言いつつ、言う事考えてなかったって言いつつも、周りへの感謝の気持ちを話していた。
観客含めての舞台だ、とも。
役者って、自分以外の何者になれる職業の最たるものだよね。
これからもいろんな顕嵐が見られると思うと嬉しいなぁ…。
顕嵐は何者になるんだろうね?
■何者
2017.11.25〜12.10